担当者が異動しても途切れないSNSへ。未経験の自治体職員が平均4.6万閲覧を”自分で”生み出す仕組みとは
ながの観光コンベンションビューロー 様
投稿のクオリティが担当者のスキルやセンスに依存する。
担当者が代わると、アカウントが止まる。
せっかく積み上げた発信が、異動のたびに振り出しに戻る——。
観光協会や自治体のSNSでは、よくある悩みではないでしょうか。
ながの観光コンベンションビューロー様が目指したのは、「誰が担当になっても回る」運用でした。その中心にいるのが、担当になるまでInstagramを触ったこともなかった職員の高澤さんです。
未経験からスタートした高澤さんは今、自ら企画・制作した投稿で閲覧数平均約4.6万回、最高約38万回を獲得するまでになりました。さらにその運用を次の担当者にも引き継げる形で整えています。どうやって「未経験から自分たちで回せる」アカウントをつくってきたのか、お話を伺いました。
ながの観光コンベンションビューローについて
長野市の観光協会にあたる組織。長野市の観光振興、コンベンションの誘致・支援、そして地域の産業経済の活性化を目的に運営され、組織は観光部とコンベンション部に分かれている。コンベンション部は合宿や大規模な団体の誘致を、観光部は観光客の誘致や観光情報の発信を担う。高澤さんは長野市役所からの出向で観光部に所属し、令和7年度(2025年度)からSNSの発信を担当。善光寺や戸隠、松代など、長野市の観光地の魅力を特に若い世代に向けてPRすることに力を入れている。
株式会社スキヤキッドについて
観光業界特化型のSNSマーケティングサービス『Tripro(トリプロ)』を運営。ホテル・旅館、商業施設、レジャー施設などの民間事業者から観光協会、官公庁まで、観光・おでかけ分野のSNS支援を専門としている。
成果サマリー
| 指標 | 数値まとめ(2026年7月末時点) |
|---|---|
| Instagramフォロワー数 | 13,650人
(2024年のアカウント運用支援開始から毎年+4,000人以上/年のペースで継続的に増加中) |
| 2025年度~2026年度7月末の投稿成果 | 投稿92本・平均閲覧数約5万回
<内訳> |
| 代表的なコンテンツ | 「戸隠神社五社巡り」フィード投稿 約20.5万回閲覧(高澤さんが企画・制作) 「紅葉スポット7選」フィード投稿 約37.9万回閲覧(高澤さんが企画・制作) |
| ストーリーズ | ほぼ毎日更新(全て高澤さんが実施) |
支援内容
2023年度末から4年度連続でInstagramアカウントの運用支援を実施中。2025年度は職員が投稿作りを内製する体制を整え、制作フォーマットの提供、投稿作成の添削、リール動画の制作、月次会議での企画設計とフィードバックを行う。

左:ながの観光コンベンションビューロー 高澤さん、右:スキヤキッド 河田
長野市の魅力を届ける、ながの観光コンベンションビューロー
──【スキヤキッド 河田】ながの観光コンベンションビューローさんがどんな組織なのか、高澤さんのご経歴と併せて教えてください。
ながの観光コンベンションビューローは、端的にいえば長野市の観光協会でして、長野市への観光客誘致を目的に運営している組織です。
私は長野市役所からの出向で、もともとは市役所の観光振興課で観光の仕事を3年ほどやっていた経験もあります。Instagramの発信では、リール投稿をスキヤキッドさんにお願いして、フィード投稿(静止画)やストーリーズを主に行っています。
「mixiで止まっていた」Instagram未経験からのスタート
──【スキヤキッド 河田】SNSの担当に決まった際、率直にどんなお気持ちでしたか?
SNSは学生時代にmixiをやっていた程度で(笑)
そこから全く触っていなかったので、「これはまずい」と最初思いました。Instagramはアカウントすら持っておらず、友人が少しいじっているのを横目で見ているくらいで。自分自身では全く触ったことがなく、単語も何もわからないという状態でした。
──【スキヤキッド 河田】完全に初心者の状態からスタートして、今ここに至るまでの道のりは、いかがでしたか?
初めはアプリに入ることすらおっかなびっくりで、緊張もしました。これでいいのかなと何回も確認して、30分くらい時間をかけて投稿をしていたくらいです。
でも、最初の半年間はスキヤキッドさんが全投稿を添削してくれていたので心強かったです。その半年を過ぎてからは自分に任せてもらって、やっと最近自分でも納得できる投稿ができるようになってきた感覚があります。

想定以上に返ってくる添削にも「確かに」と納得
──【スキヤキッド 河田】私たちからの添削はいかがでしたか?
懐かしい、小学生の頃の通信講座のような感覚でした(笑)
自分が想定していた以上に直しが多かったのですが、私が気付けなかった部分ばかりで。スキヤキッドさんは全国でいろんな類似アカウントを運営されていて、その知見がベースにある上での添削なので、すごくいい経験だったなと思います。
一番印象的だったのは、がんばって作ったサムネの画像をガラッと取り替えられたときですね(笑)ただ、修正後の画像の方が明らかにインパクトが強かったんです。「確かにこっちだよな」と納得しました。
──【スキヤキッド 河田】せっかく作ったのに、と思いますよね(笑)
でもそうやって直していただいた投稿は、やはり数字も伸びるんですよね。
自分1人で作ると、イベントの開催日や概要、料金を書いて終わりとなりがちですが、「初めての方に向けてこういう情報も画像に入れた方がいい」と指摘してもらうと、確かにと気づかされました。
大事な情報を画像に入れずに説明文だけに入れた時は、友人からも「みんな画像しか見ないよ(=説明文は読んでいないよ)」と指摘されました(笑)プロの目線でも、まったくの第三者の目線でも、同じところを指摘されたのでこれは本当に大事なんだなと実感しましたね。
20万閲覧を生んだ、戸隠神社「五社巡り」
──【スキヤキッド 河田】高澤さんがこれはやりきったぞという代表作といえば、どの投稿になりますか?
やはり、閲覧数が約20.5万回(※2026年7月末時点)の「戸隠神社五社巡り」の投稿ですね。戸隠神社は個人的にも好きなので、何かしらうまく取り上げたいなと思っていたんです。
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善光寺や戸隠神社は、地元の私たちからすると「もう有名だし、観光客も来るから改めて紹介してもあまり見てもらえないのでは」という感覚がありました。しかし、戸隠神社の五社巡りについて少しチャレンジングな切り口で投稿してみたところ、思いがけず大きな反響があったんです。有名な場所でも、まだ知らない方はたくさんいる。これからも継続的に発信していく必要があるのだなと、改めて思いました。
──【スキヤキッド 河田】閲覧数以外に見ていてうれしかった反応はありましたか?
コメントもたくさんいただけてうれしかったです。特にスキヤキッドさんに作ってもらった戸隠神社に関する別の投稿(閲覧数約96.2万回 ※2026年8月時点)なのですが、今までで一番多くのコメントがつきました。
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中には「クマが出る」というコメントもあって(笑)ちょうど投稿のタイミングあたりで全国各地でクマ出没のニュースが相次いでいたのですが、地元からするとクマの生息地なのは分かっているので驚きはないのです。装備を整えていただければ問題なく観光していただけるので、そうした関心もうまく活用しながら正しい情報の発信につなげていけたらと思っています。

センスがなくてもできる、投稿制作を支えるフォーマット
──【スキヤキッド 河田】投稿を作るうえで、一番大変だと感じるのはどんなところですか?
やはり、サムネ画像を作るときが一番時間がかかります。画像編集ツールを使って何枚か候補を作って、その中から1つ選ぶのですが、結局何が正解なのか不正解なのか今でも悩むところがあって。プロフィールで並んだときに小さくなってしまうので、インパクトがある画像がいいのか、バランスよく整っている画像がいいのか迷ったりします。
──【スキヤキッド 河田】サムネのフォーマットを定義しましたが、こちらはどうでしたか?
非常にやりやすいです。これがないと、毎回のようにどういうサムネにするかというところから考えなければいけないので非常に手間がかかることになります。
──【スキヤキッド 河田】フォーマットがあることで、デザイン力やセンスがあまり必要なくなり、情報を取捨選択してまとめる、というアクションに変わります。特に公務員の方の得意分野を活かせると思っています。
たしかにそうだと思います。自分でフォーマットを1から作って変えていくとなると、時間もかかりますし、デザインの知識やセンスがあるわけでもないので困ってしまいます。非常にいいレイアウトのフォーマットを提供いただいて、それを運用してきて今に至りますし、今後もずっと使っていきたいです。
ほぼ毎日のストーリーズ更新がフォロー率を支える
──【スキヤキッド 河田】ストーリーズも高澤さんが頻繁に投稿されていますね。
はい、できれば毎日ストーリーズを上げたいなと思ってがんばっています。
長野市内には地区ごとにも観光協会があって、それぞれが力を入れて取り組んでいるイベントなどをアップしてくださるので、ストーリーズはそれを紹介させてもらう場にしたいなと考えています。閲覧数も平均1,000くらいは取れているので、情報を待ってくれている人がいるんだなと感じています。
──【スキヤキッド 河田】ストーリーズの情報発信は実は大事なんです。ほぼ毎日最新情報が上がると、ニュース媒体としてもフォローする価値がぐんと上がる。だからながの観光コンベションビューローさんのアカウントはフォロー率が高いんですよね。
市内で毎日1,000人くらいの方に周知できると考えると、結構な媒体ですよね。それだけ見てくれる方がいるならがんばる価値があるなと思っています。地道ではあるのですが、これを続けていくことでフォロワーもコンスタントに増えてきた実感があります。

フィードは自作、リールはお任せの体制がちょうどいい
──【スキヤキッド 河田】フィード投稿をご自身で作られて、リール動画は私たちがメインで作って伴走する形ですが、この体制はどうですか?
今の体制は非常にありがたいですね。リールは、正直なかなか手が回らないというのが現状です。一度チャレンジはしてみたのですが、映像の編集が非常にハードルが高くて。特に音ハメなどは0コンマ何秒の世界でやっていく部分があるので、他の業務がある中で勉強して自分で作れるレベルまで持っていくのは難しいと思っています。
フィード投稿に集中することで作成に慣れ、スピード感を持って発信ができるというのもメリットだと思います。時には取材してすぐに投稿を作って出さなければいけないときがあります。例えば、6月末から開催されている県立美術館の特別展は、内覧会が開催前日の15時頃に終わって、そのまま17時頃に投稿というスケジュールでした。
──【スキヤキッド 河田】あのときのスピード感は感動しましたね。どうやって2時間で出せたんですか?
事前にレイアウトや文章をほとんど作っておいて、当日は撮影した画像や感想の文章だけ差し替える、ということをやりました。日ごろから作り慣れているからこそできることです。イベント系は、他の様々な媒体でも紹介され、早く上げた投稿ほど閲覧数が伸びるんですよね。過去の投稿を見てもそれがわかっているので、イベント紹介や季節の情報は、スピードを意識して出すようにしています。
4年連続、同じパートナーと走り続けられる理由
──【スキヤキッド 河田】ご自身で投稿を作ってきて、フォロワーも1万3千人以上まで伸びましたね。スキヤキッドの支援なしでもここまで来ていたと思いますか?
もし支援なしだったら、今ほどにはなっていなかったと思います。やはり第三者の目がないと、どうしても情報不足の投稿ばかりになってしまいます。もちろん、使いやすいフォーマットの提供やこれまでの取り組みでしっかりと方向づけをしていただいたからこそ、今の状況があるのだろうなと思います。
──【スキヤキッド 河田】支援開始から4年度連続となり、長くご一緒していますが、パートナーとして選び続けていただいている理由は何かありますか?
一番は、担当の方との距離感の良さだと思います。先ほど笑い話で「サムネ画像をガラッと変えられた」という話がありましたが、そこに嫌味がないんですよね。本当に私たちのアカウントのことを考えて、言うべきことははっきり言ってくださる。かといって上から来る感じではなく、「一緒に質のいいものを作ろう」という姿勢で。私が出した企画案も、頭から否定したり取り下げたりせず、活かす方向で添削してくださるんです。
もう1つは、スピード感です。月に1回の企画会議で「半月後にこんなイベントがあるんです」とお伝えすると、「では撮りに行きます」とフットワークがすごく軽いんです。
その企画会議では、私が全く思いつかないような切り口を色々出していただけるのもありがたいです。観光協会だとどうしても観光スポットやイベントの発信に偏りがちで、グルメ系の観点は正直疎くて。実際にグルメ関係の投稿もいくつか出してみたら評判が良かったので、今後も続けていきたいなと思っています。

誰が担当者になっても回る形へ。これからやっていきたいこと
──【スキヤキッド 河田】これから挑戦していきたいこと、新たにやってみたいことはありますか?
直近でいうと、来年実施される善光寺の御開帳と戸隠神社の式年大祭が、7年に一度の一大イベントになってくるので、そこに向けて今年度どれだけフォロワー数を伸ばせるかというのが一つの目標かなと思っています。なるべく魅力あるコンテンツを多く発信していきたいです。
あとは、今後私が異動になっても、うまく引き継げるような手段を考えていかなければいけないなと思っています。公務員は3年くらいで異動があるものなので。
辞令が出るとそこから半月ほどで大量の引き継ぎ書を書く、ということが起こるんです(笑)その短い期間で後任に教えられることは限られています。
そんな中で、担当者が代わってもそれまでの取り組みを引き継ぎ、手取り足取り教えていただけるスキヤキッドさんがいるというのは、初心者でいきなり担当者になった自分自身が経験してみて、本当にありがたかったです。
──【スキヤキッド 河田】同じように、SNSの担当になったばかりで不安を抱えている自治体や観光協会の方に、何かアドバイスをするとしたら?
よほどセンスがある人は別かもしれないのですが、そうでなければ、外部の意見だったり第三者の意見だったりを取り入れていく必要があると思います。
全国のいろいろな観光アカウントに携わっているパートナーがいると、的確なアドバイスがもらえるので心強いです。私自身の経験からすると、SNSが何もわからなくて困る、いきなり担当させられたという方には、まず信頼できるパートナーを見つけることをおすすめしたいです。未経験状態から私でもできるようになったので。

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